「インド洋の真珠」と言われるセイロン島は、インド南西のベンガル湾に浮んでいます。
かつてはコーヒー豆の栽培を産業としていましたが、約160年前に襲われた病害を機に、その畑を茶の木の栽培へと転換。1年中茶葉が芽吹く恵まれた環境と、国の統制により厳しく管理された生産管理及び販売により、高品質を維持し、今では世界一の紅茶輸出国になりました。そのためか、国名がスリランカとなった今でも、スリランカで産出される紅茶は、かつての国名を冠してセイロンティーと呼ばれています。

 
セイロンティーのアイデンティティ
セイロンティーは販売も国が管理しており、オークションによって価格が決まります。オークションで高額取引をしてもらうためには、品質はもちろん、各農園が紅茶の個性を打ち出す必要があります。イギリスやフランスの紅茶ブランドは各国から輸入した茶葉を商品として仕上げて販売していますが、それらの茶葉のほとんどはセイロンティー。セイロンティーは大きくくくればひとつのブランドですが、それぞれ個性を打ち出した農園もまたそれぞれがブランドです。当店では農園単位で茶葉を販売していますので、彼らが打ち出すそれぞれの個性をダイレクトにお楽しみいただけます。
 

セイロンティーの産地
セイロンティーの生産地は、セイロン島の南部に聳えるビドゥルタラガラ山を中心にした山岳地帯に広がります。
主な産地には、世界三大銘茶のひとつウバをはじめ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、キャンディ、ルフナがあり、これらはファイブ・カインズ、セイロンティーの五大産地と呼ばれています。
また、セイロンティーは産地の標高の高さによって、それぞれの産地で産出される紅茶はハイグロウン・ティー、ミディアムグロウン・ティー、ロウグロウン・ティーと呼ばれます。

 


セイロンドロップ取り扱いの主な産地
 
ヌワラエリヤNuwaraeliya
スリランカ中南部の山岳地に位置し、主な産地と比べると比較的面積の少ない小さなエリアに約12〜13の農園が点在しています。標高は1600〜1800mと高く、ハイグロウンのなかでも、一番標高の高い産地です。そのため、日中は日差しが強く20〜25℃程度まで気温が上がりますが、朝夕は5〜14℃程度まで下がる、1日のなかで温度差が大きいのが特徴です。また、頻繁に霧が発生するものの、山頂部から吹き下ろす風が霧を晴らし、茶の生育に最適な環境を作り出しています。このような環境で育まれた茶葉は、タンニンを多く含み、それに伴い渋みの強い紅茶に仕上がります。一方で、ハイグロウンならではの花のよう(フラワリー)な香りを持ち、水色も透明感のあるオレンジやゴールド。製茶工場内も、高標高で気温が上がりにくいために茶葉の酸化発酵が遅く、茶葉の緑色を残すグリニッシュな見た目、フレッシュな風味をもつ紅茶に仕上がります。
茶葉は一年中収穫されますが、最も美味しいとされるクオリティシーズンは1〜2月。BOPの生産が多いなか、OPはとても香り高い紅茶に仕上げられます。
       
キャンディKandy
キャンディ地区は、スリランカ中央部の緩やかな丘陵地に広がる、比較的面積の広い大きな産地です。標高は600〜800mのローグロウン〜ミディアムグロウン。季節風の影響はなく、一年中穏やかな気候のためクオリティシーズンは特になく、常に安定した品質と生産量を維持しています。紅茶も気候同様にソフトでマイルド、渋みも穏やかで軽さのある仕上がり。個性的でないところがキャンディの紅茶の特徴かもしれません。またタンニンが少ないため冷やしても濁らないのでアイスティーにも向いています。
 
ディンブラDimbula
ディンブラは中南部の山岳地帯の南西部に位置し、東側がヌワラエリヤと隣接しています。標高は1200〜1600mのミディアムグロウン〜ハイグロウン。季節風の影響は少なく茶葉の生育も紅茶の品質も安定しているものの、季節風の服1〜2月がクオリティシーズンで、この季節の茶葉はバラのような香りと強い渋みをもつのが特徴です。それ以外のシーズンは特に突出した個性はなく、マイルドでフラット、優しい印象を受ける紅茶の仕上がります。
 
ウバUva
ウバは世界三大銘茶のひとつとしてもよく知られ、ブランドとしても世界に名を馳せています。スリランカ南東部、ベンガル湾側の山岳地帯に広がり、広大な産地に50以上の農園が点在します。標高はヌワラエリヤに次いで高い1400〜1700mのハイグロウン。インド洋からの季節風が山にあたって冷たく乾燥した風となって霧を晴らし、茶葉を乾燥させます。この環境が最高級と言われるウバの茶葉を育む大きな要因で、7〜8月がクオリティーシーズンです。このようなタフな環境で栽培されるため、風雨の影響を受けやすく、年によって品質のばらつきが感じられることもありますが、概ねウバの特徴は、水色は濃く、フルボディでパワフル、強い渋みと特有なフルーティーの香りも持ち合わせます。ウバを味わうにはBOPが最適とされ、ミルクティーにしても本来のウバの味わいを損なわずに楽しめます。
 
       
ラトナプラRatnapura
スリランカ南部、ファイブ・カインズのひとつで巨大産地であるルフナの北に位置する小さな産地です。標高は低く500〜700mのローグロウン。水色は濃く、味わいも濃厚。個性的な香ばしい風味が特徴です。


サバラガムワSabaragamuwa
ファイブ・カインズのひとつ、ルフナから独立した形で生まれた新興の産地。まだまだ認知度は低いですが、南部の紅茶らしく色は濃く、スモーキーな香りと渋みをもつ一方でとても飲みやすい紅茶を生産しています。